とても不思議な作品だ。
当たり前だと思っている日常の
なんと危ういこと。
世界で起こっていることを日常に当てはめると
こんなにも不条理になるのに、
「あり得ないこと」とは
けっして言い切ることのできない妙な説得力。
シュールでありながら
つい、クスッと笑ってしまう部分もあり。
笑っていいんだか、泣いていいんだか
怒っていいんだか、怖がっていいんだか。
いろんな感情を代わる代わる刺激されて
知恵熱が出そうな興奮を感じた。
江口洋介演じる主人公の「北原さん」は、
何がなんだか分からないまま巻き込まれていくのだが
それは観ているこちらも一緒。
感情移入とは、ちょっと違う気もするけれど
彼の疑問や驚きは、そのまま観客のそれになっている。
灰汁の強いキャラクター達に囲まれ
状況的には、完全に周りに流されているんだけれど
自分の中に沸き上がる「感情」には
決してぶれずに、対峙している姿が気持ちいい。
原田知世演じる「香西さん」の、
どこか現実味のない感じと
そんな彼女がフと見せる人間らしさも、すごく魅力的!
瑛太くんも、
すっごくイイ表情するんだよねぇ~。
北原さんの上司である、主任の田尻さん。
いやぁ~、たまげた!!
そ~きたかぁ~っ!!
うぅぅぅ~っ、切ないのぉ~~。
映像は、すっごく安っぽい作りながら
それを意識させることなく
いや、逆に
それをうまく作品の世界観にしていて
不思議なほど、魅力的な作品に仕上がっている。
金を惜しみなく使った豪華な映画を見慣れていると
びっくりするほどのチープさだけど
どうしてどうして
この作品の秘めた熱さは、めっけもんですよ!!