2007年02月

となり町戦争

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とても不思議な作品だ。

当たり前だと思っている日常の
なんと危ういこと。

世界で起こっていることを日常に当てはめると
こんなにも不条理になるのに、
「あり得ないこと」とは
けっして言い切ることのできない妙な説得力。

シュールでありながら
つい、クスッと笑ってしまう部分もあり。

笑っていいんだか、泣いていいんだか
怒っていいんだか、怖がっていいんだか。
いろんな感情を代わる代わる刺激されて
知恵熱が出そうな興奮を感じた。


江口洋介演じる主人公の「北原さん」は、
何がなんだか分からないまま巻き込まれていくのだが
それは観ているこちらも一緒。
感情移入とは、ちょっと違う気もするけれど
彼の疑問や驚きは、そのまま観客のそれになっている。

灰汁の強いキャラクター達に囲まれ
状況的には、完全に周りに流されているんだけれど
自分の中に沸き上がる「感情」には
決してぶれずに、対峙している姿が気持ちいい。


原田知世演じる「香西さん」の、
どこか現実味のない感じと
そんな彼女がフと見せる人間らしさも、すごく魅力的!

瑛太くんも、
すっごくイイ表情するんだよねぇ~。


北原さんの上司である、主任の田尻さん。
いやぁ~、たまげた!!
そ~きたかぁ~っ!!
うぅぅぅ~っ、切ないのぉ~~。


映像は、すっごく安っぽい作りながら
それを意識させることなく
いや、逆に
それをうまく作品の世界観にしていて
不思議なほど、魅力的な作品に仕上がっている。

金を惜しみなく使った豪華な映画を見慣れていると
びっくりするほどのチープさだけど
どうしてどうして
この作品の秘めた熱さは、めっけもんですよ!!

ドリームガールズ

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ドリームガールズ

One Night Only♪
One Night Only♪


うっほほ~いっ♪
こんなん観たかったんよー!

んもうパワフル♪パワフル♪

ミュージカルがベースとはいうものの
唐突に歌い出すシーンはそんなに多くはないので
ミュージカル映画に若干違和感を覚える僕でも
楽しんで観ることができた。


とにかく
絢爛豪華なステージシーンに、目が奪われる!
派手な演出に負けない歌唱力のオンパレード!!

分かりやすいストーリーに
分かりやすい登場人物たち。

圧倒的な迫力が画面から伝わってくる
エフィ役のジェニファー・ハドソン。
ちょっと、
この娘ってば出過ぎなんちゃう?と思ったら
物語りの中心は彼女だよね。

宣伝では、ビヨンセ・ノウルズ主演という扱いだけど
印象に残る歌はエフィ単独のものの方が多いぐらい。

アカデミー賞助演女優賞受賞という情報がなくても
彼女が物語りを引っ張っているのは明らか。

優等生的なキャラで大人しく
周りに流されていく受動的なディーナより、
感情的に昂るシーンが多く
不器用にぶつかりながら突き進む
アメリカ人好みのエフィの方が印象に残るよね。

だから、
ビヨンセの役は損って言っちゃあ損。

この映画での彼女の役ディーナは
全開の自分を出すことのない女性。
彼女の歌声は、決してエフィを凌駕してはならない。
そんなディーナが、初めて感情をあらわに歌う
『LISTEN』のシーンは、それまでの彼女から一転。
圧倒的な美貌をかなぐり捨てて
静かに、
だけど激しく燃える炎のようで素晴らしく思えた。

「どんなに影が濃くても
 光がなければ影はできないのですよ」

ま、誰が上手いかどうかなんて
比べるようなレベルは超越している方々なんで(笑)。

僕は両者にスタンディングオべーションです!!!!


ホントに単純なストーリーだから
(ってか、ストーリーはかなり薄いかも…)
ショーとして楽しむのが一番だね!

もちろんサントラ(デラックス・エディション)は
購入しましたよー!!


蛇足:
映画館からの帰り道に、
頭の中をリフレインする『One Night Only』。
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i-Podにも、
その曲を入れていたので
聴きながら帰ろうかと思い
スイッチを入れたら
dreamの
『Heart on Wave』が
流れてきた…。

歌の魅力って、
迫力だけじゃないんだよね(笑)♪

あなたになら言える秘密のこと

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♪織なす布は、いつか誰かを
♪暖めうるかもしれない

心の傷を癒すのに、
時のながれは有り難いと思うけど
胸の内をあかし解放させてくれる存在には
到底かえられない。

それにしても眠かったぁ~!

いやあ、
別につまらないわけではなく
なんとなく
「よさげ」ではあるんだけど…

心を閉ざして多くを語らない
サラ・ポーリー演じる主人公ハンナが
ぼそぼそと、語るシーン。

とっても重要なシーンにも関わらず
異常に眠くなってしまって…。
聞くのがやっと
というか、
起きてるのがやっとという状態に。


全体に淡々としていて、緊張感がない。
でも、彼女が抱えている「秘密」が
そうとう重いことなので
この淡々さ加減は重要なのかもしれない。
そうじゃないと、観ているこちらが
重圧に耐えられなくなりそうだったもの…。

「秘密」って言葉から想像するものとは
かなり隔たりがある気がするんだけどなぁ~。


へんに感情を盛り上げる音楽などもなく
ただただ、彼女の声に耳をかたむける状態。

のべつまくなし話し続けている
ティム・ロビンス演じるジョセフを
正直ちょっとうざったいと思ったけど、
気持ちを言葉にできること自体が
ありがたいことなんだよね。


もっとサラッとした内容を想像していたので
後半のヘビーさに、少なからず戸惑ってしまった。

決して消し去ることなどできない辛い過去。
誰かと共有したところで、
それから完全に解放されるわけではない。
だけど…。


タイトルを聞いて
カップルで観るのに最適♪なんて思ってたら大間違い。
一人で見ろ!とまでは言わないけど
初めてのデートで観る映画としては
けっしてお勧めしませーん!


♪縦の糸はあなた
♪横の糸はわたし
♪織なす布は、いつか誰かの
♪傷をかばうかもしれない
 ――「糸」中島みゆき

バブルへGO!!タイムマシンはドラム式

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ホイチョイプロダクションって
まだあったんだぁ~?!

昭和から平成に変わる
まさにバブル期を
ちょいとかじっている僕。

社会に出て、ほんの数年で
バブルがはじけてしまったので
いわゆる美味しい思いは、ほとんどしていない。

日本経済衰退のあおりを受け
それを肌身に感じながら
社会人として育ってきた世代である。

最初に入社した広告代理店など
まさにバブルに乗っかっていたわけで
なんとなぁ~くは
浮き足立った部分を見ている。


バブル期を見てきた僕には
可笑しさとともに懐かしさが味わえはするが、
当時の風俗を表現するのが
ボディコン・ワンレンのファッション
街に流れる音楽
そして夜の風景だけ、というのが
かなぁ~り薄っぺらい。

バブルを生み出した根本的な部分には
ちぃ~っとも触れないし
タイムパラドックスは成り行きまかせだしで
まぁ~、ここまでいい加減なら
目くじらをたてるのも馬鹿馬鹿しいというもの。

そこそこ楽しけりゃあイイじゃん!ってスタンスが
すでにバブルなんだよね(笑)。

ま、「そこそこ」ってのもアリか!

なんで今さら広末涼子?って感じは否めないけど
やっぱり、そこそこカワイイし。
阿部寛の怪演も少し食傷気味ながら、そこそこ楽しい。

全てが、おしなべてそこそこで
観終わった後には、ちょいと元気になってる。
面白いけど、得るものはなぁ~んにもなし(笑)。

見せ場のドタバタが、だらだらと長かったのが残念!

基本的に映画館でしか映画を観ない僕だけど
映画館で観なくてもいいかなぁ~。って感じ。


ちょっとびっくりしたのは、
ラモス瑠偉のファッション。
当時も、多分同じような格好だったと思うんだけど
今見ても、全然古臭く感じないんだよねぇ~。
定番の良さを改めて感じましたです、はい。

それでも僕はやってない

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興味深い作品です。

いい映画を観た!とは
軽々しくは言えないような。

ドキュメンタリー的でもありつつ
役者陣は、そうとう豪華。
派手な演出はないものの
目が離せず映画に引き込まれた。

面白い!


加瀬亮くん演じる金子徹平は
「無実」という前提
=「被害者」という視点で描かれているから
検察や裁判官などには不信感ばかりがつもるし
弁護士には、悲哀や格好良さすら感じる。
そりゃあ、
役所広司さんが弁護士役だしさぁ…(笑)。

これが、
「実際はやったの?やらないの?」
という視点からだったら
まったく違った作品になっちゃうだろうね。


そう、
犯人探しが目的なのではない。

あくまでも、
えん罪(無実なのに罪を問われることね)に対する
裁判制度の実情と問題点を描くというのが
この作品なのである。


法廷でのやりとりがメインではあるのだが
僕が気になったのは警察や検察の態度。
なめられてはやっていけない立場なんだろうが
まだ犯人と確定していない人に対して
留置場での犯人扱いはなに?

罪を憎んで人を憎まず。なんて
悠長なことを言っていたら
犯罪者を野放しにするだけ!と
言わんばかりの、人を人とも思わない対応。

これって、ホントに現実がこうなの?

罪を償う気持ちより、
罪を犯した後悔だけが育つような…。
「次からはバレないように上手くやろう」なんてね。


現場は、
理想論では全く動かないのは分かるんだけどさぁ~。


理想論ついでに、

えん罪でも、犯罪者のレッテルが貼られた時点で
生きていくのは困難になる世の中だと思うけど
この映画のように、
信じて一緒に戦ってくれる家族や友人がいるって
心強いし、幸せなことだよねぇ~。

この映画を観て、
正直に生きていればそれでいい
というわけじゃあないと学んだ。
それでも、疑心暗鬼にならず
加害者にならないよう生きていくことはできると
信じたいと思う。

世界最速のインディアン

アンソニー・ホプキンスは
どう見たって
インディアンには見えないべ。

んな、
見当違いのことを考えちゃうぐらい
予備知識なく観に行った。

彼自身がインディアンなのではなく
彼が乗るバイクとのこと。
冷静に考えりゃあ、そりゃそうだ。


冒頭、彼が目覚めるシーンでは
あれ?ホラー映画だっけ?と見紛うものの
筋が進むごと、子供との交流が進むごとに
彼のかわいらしいお爺ちゃんぶりが出てくる。

世間に疎い偏屈爺さんかと思いきや
ちょっとだけ変わっているかも?という程度の
さじ加減が絶妙。


映画では「よくある展開」というのがある。
素直な主人公に近付いてくる意味ありげな怪しい男は
最初は親切だけど、結局は嘘つきだったりするやつ。

この映画では、
いかにも騙しそうな雰囲気で登場する悪人顔の人でさえ
ごくごく普通の人として描かれている。

もちろん映画的に、すっごく素敵な良い人も登場するが
大半は、そこいらに当たり前にいるような
とりたてて他人に敵意をもたない程度の人たちである。

頑張っている人を見たら
手を貸さないまでも、経過を見守る。
そんな、ささやかな善意の積み重ねが
人の輪を作っていくさまは、とても自然で気持ちイイ!

ロードムービー部分のエピソードたちは
5分あるかないかの短いものもある。
そこに出てくる人たちも、けっして適当な扱いではなく
それぞれが、重すぎず、軽すぎず
いい余韻を残していくんだよねぇ~。


ご都合主義的な部分がないとは言えないけど
この映画に関しては、それもまたいいんじゃない?
と、おおらかな気持ちになれる。

いいなぁ。
こういう前向きでチャーミングな作品、
好きだなぁ~。
プロフィール

ヨネえもん

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