『ホノカアボーイ』の感想を書いてからも
何本か映画を観てはいたが、ずいぶん間が空いてしまった。

くしくも、今回感銘を受けた『重力ピエロ』には
『ホノカアボーイ』の主演だった岡田将生くんが出演。
『ハルフウェイ』を見逃してしまったことが悔やまれるのだぁ~。


伊坂幸太郎さん原作の『重力ピエロ』。
そのタイトルからは、まったく内容が想像できない。
映画を観ていても、終盤までタイトルの意味は明かされない。

それでも、このタイトルは秀逸だと思う。


加瀬亮くんが演じる長男の泉水(いずみ)
岡田将生くんが演じる次男の春(はる)
この二人の、兄弟として、そして家族としての繋がりを
丁寧に、そしてテンポよく描いている。

いい意味でいつも通りの
父親役・小日向さんの柔らかぁ~い存在と
母親役・鈴木京香さんの芯のあるたおやかさとが相まって
この映画を実感のあるものとしているようだ。


これだ書くと
のんびりほんわかした作品なのかと勘違いされるかと思うが、
展開はいたってシビア。

不安定な緊張感が漂い、
癒し系の映画などでは決してない。

渡部篤郎さんの徹底した嫌なヤツっぷりが
現実離れしているように感じるのが唯一の救いか。

あ、ストーカー夏子役である吉高由里子ちゃんも
作品の緊張感をほぐすイイ緩和剤になってました♪


ストーリーも面白いのだが
演出や伏線の張り方が絶妙で心地イイ。
本筋には関係なさそうなささやかなシーンも
別のシーンで、「あ、あれって?!」と気付かされる。
それも、嫌味なく、さりげなく。


どんなに素晴らしい聖人の言葉があっても
ままならない現実と自分の心。

『重力ピエロ』の中ではガンジーの言葉が
たびたび引用されているのだが、
「非暴力主義」などとこ難しく言うと
自分とは全く関係ないことのようにも聞えるし
ガンジー様のありがたいお言葉…と身構えてしまう。
ところが、泉水と春の父母の言葉は
表現こそ違え、ガンジーの言葉を咀嚼したもののようにも
理解できる。

聖域に生きているのではなく俗世を生きる者には
このぐらい咀嚼されているほうが現実的で
沁みるのではないだろうか。

「自分がこの世の中で見たい変化になりなさい」
これはガンジーの言葉だそうだ。
深い…。


ついつい、周りに変化を求めてしまう。
「自分こそが正義だ!」とまでは思わないものの
自分を柔軟にして生きることより
周りを非難する方がはるかにラクだからだろう。

そうではいけない。と最近とみに思うようになった。

実行にはなかなか反映されないのが難しいところだが
きっと、とりあえず思ってみることから始めればイイのだろう。


ピエロの笑顔は化粧によって作られた仮面かもしれない。

だけど、その素顔も笑顔でいられるように
とりあえずでも笑顔から。
そして言葉から。
少しづつ、少しづつ、なりたい自分へと変えていくことが
素顔の笑顔へとつながるのだと信じていたいものですな。