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新しいものが
すべて良いわけではない。

古いものが
すべて良いわけでもない。

どんな時代にも
その時代なりに
良いものがあり
醜いものがある。

それでも、この映画を観ると
あまりにも多くの大切なものを
失ってしまったのではないか…。と
現代を振り返って思わざるを得なかった。


日本人がありのままの日本を愛していた時代。
厳しい自然。慎ましい生活。
その中で育まれる、豊かな心。

特に若い頃を演じるふたり。
少女ふく・佐津川愛美ちゃんと
少年文四郎・石田卓也くんが素晴らしい!!

瑞々しく、力強い瞳のキラキラした輝き。
あまりにも眩しくて、
まっすぐな2人から目が離せない。
坂道で荷車を押すシーンは、
古き良き映画の名シーンのようで泣けた。

文四郎の友達との交流も、
尊重しつつ支えあう部分が
ヘンに大人びているわけでもなく
少年の中の男を感じさせて清々しかった。

父親役の緒形拳さんは、
どんなにみすぼらしい格好をしていても
父としての威厳と優しさが滲み出ていてすごいなぁ~。
多くを語らないからこそ思いが込み上げ、グッと来る。


…ここで終わっても良かったなぁ~。


大人になった二人に市川染五郎と木村佳乃。
市川染五郎の芸達者な部分が
かえって仇になっている感じ。
少年時代とのギャップが大き過ぎて、戸惑った。
話しが進むと、違和感は薄れるんだけど…。

木村佳乃は、
こんなに綺麗だったっけぇ~?!と
見紛うほどに美しい!
リアルな映像が流行っている今では
ここまで女優を光り輝くように映すのって、珍しい!!

ただ、友達役で出てる
ふかわりょうや今田耕司くんはいただけない。
演技がどうのという分けではない。
実際、とても自然でハマっていたとも思うけど…
やはりスクリーンで、それもこういった内容の映画に
彼らの顔が出てくるだけで興醒めなんだよなぁ。


「良質」という言葉がとてもよく似合う作品だ。
たまにこういった作品で
身を清めるのも良いかもしれない。
若いコは、清める前に眠くなっちゃうだろうなぁ。
あ、僕が観た回では
大イビキをかいて寝ているおじさんがいたわ…。