映画館を出たら
なんとなく熱っぽかった。

風邪をひいたわけではない。

好きな作品に出会うと
たまぁ~に
身体が火照ったようになるのだ。


『転校生』といえば、
『時をかける少女』
『さびしんぼう』と並ぶ
大林宣彦監督の尾道三部作の一本。

小林聡美ちゃんのあっけらかんとしたキャラが印象的で
青春映画としては唯一無二の特異な作品だ。

その作品のリメイクということで
期待半分、不安半分な気持ちだった。


まず印象的なのが、斜に構えた画角。
水平に構えるのが基本であるカメラワークを
敢えて斜にこだわって映し出す。

これによって、平凡な風景さえも
意味をもって切り取られているようだ。

僕も、写真を撮る際には
敢えて斜めにして写したりするのだが
これによって画面の隅々にまで気を配ることができ
ただ普通に写すよりも
緊張感ある、いい写真になることが多い。

これを映像で、それもかなりの時間を費やすと
観るのに疲れるのではないかとも思うのだが
そうならない微妙な配分で、効果的に使われていた。


今回の舞台は、尾道ではなく信州。
森田直幸くん演じる
主役の一夫が尾道から引っ越してくるという設定だ。

もう一人の主役、一美を演じる蓮佛美沙子ちゃん。
いやぁ~、またいい役者さんを選びましたねぇ~!
大林宣彦監督の少女像は、少年の永遠の理想像でしょうねぇ~!
彼女がピアノを弾きながら歌うシーンの瑞々しさといったら♪


前半こそ、コメディタッチで進むのだが
後半の展開では…、
「さよなら俺」「さよならわたし」ではなく
「さよなら あなた」という意味が分かってくる。

清水美砂が演じる一夫の母親のセリフが
たまらなく胸に響く。


人と人との結びつきは
結局、心と心との結びつきであるということを
信じたいと強く思えた。
文字にすると陳腐だけどねぇ~。


素敵な作品は数あれど、
恋した気分になれる作品にめぐり合えることは
そうそうない。

とても胸が熱くなる愛すべき作品でした!!
観て良かった!!!