不器用な天才シェフが
平凡な主婦に恋をし、
その募る想いを料理に託す。

華やかでしたたるような
官能的な料理と
大人の恋心を描き
極上のワインのように
あなたを酔わせる
ロマンティックムービー…

などでは決してありませんっ!!

この作品に
『厨房で逢いましょう』なんて
小洒落たタイトルをつけるセンスは疑うが
もし、確信犯だとしたら
かなりシニカルな人だろう。

オープニングで鶏を捌くシーンから
すでにキワモノの香りが!

主人公の性格からただ者ではなく、
ヒロインである女性の
生っぽく下靡たしぐさも、
すべてが斜に構えた視線に感じられる。

ただ、平凡に見える設定も
描き方次第で
こんなにも無気味な怪作になるのかと思うと
映画の奥深さを堪能できるというものだ。

臭いの強い食べ物は
特に好き嫌いが分かれるものだが
この作品も、その類いだろう。

後味は好みではないが
少なからず刺激的な作品であることは間違いない!


作品中に登場する、食べる者を官能の世界へと導く
エロティック・キュイジーヌが実際にあったなら
ぜひ足を運んでみたいものである。