この映画、刺激的なことは確か!

『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせる荘厳なオープニング。
緊張感と焦燥感を漂わせた、現代アートのような高感度な映像。
かなりグロテスクではあるものの
スローモーションと音楽のチカラも相まって
圧倒されるほど美しい!


…と、長ぁ~いプロローグだけで
お腹いっぱいなところで、いよいよ本編。

いかにもラース・フォン・トリアー監督らしい
手ぶれとピントぼけの映像。

説明が極端に少なく、内容をつかみにくいまま進み
観客をイライラさせる展開も、この監督ならではか。


主題とかけ離れたところを描くことに終始する第一部。

まるで虚飾の象徴であるかのように
キルスティン・ダンスト演じる主人公・ジャスティンの
結婚披露パーティーに興じる人々が映され、
それぞれの本音があぶり出されていく展開にゲンナリ。

観ているだけで嫌気がさすような人間関係は
ある意味ではこの作品の主題なのかもしれない。


唐突にメランコリアと呼ばれる惑星との
衝突までが描かれる第二部は、
シャルロット・ゲンズブール演じる
ジャスティンの姉・クレアの表情そのままの
陰鬱で薄暗い画面構成。

いわゆるパニック映画のように、
わーわーキャーキャー泣き叫ぶような
分かりやすい表現でないのが、逆にリアル。

藤子・F・不二雄が描いた短編漫画『ある日…』に
共通する部分があるかもしれない。


とはいえ、
敢えて共感しにくいように作ったのではないかと思われる
キャラクター設定は好きにはなれない。

ここで感情移入しやすいようにしてしまっては
ただのお涙頂戴作品に陥ってしまう危険性もあるから
絶妙なバランスなんだろうけど…。

この姉妹、癇に障る。


妙にリアルで、
だけど夢の中のような不安をあおる浮遊感もあって
すごく不思議な感覚の刺激的な映画だった。