この女、ただ新しい刺激が欲しいだけなんじゃん!

…昔の僕だったら、そうぶった切っていただろうな。


地味ながら原色の生きたテキスタイルが映え、
カメラのファインダーを覗くような映像に
逆光のまぶしさと、オーブンの熱が伝わってくるかのような
味のあるオープニング。

お、久しぶりにいい映画風だぞ♪とご満悦の僕。

ちょっとつかみ所のない主役のマーゴと
そんな彼女の隙間にするっと入ってきちゃうダニエル。
なんだか相性のよさそうな彼女たちの
楽しい恋愛模様が描かれるんだな…と思ってたら
なんとマーゴは人妻だったのね。

前情報なしで観てたから、ダニエル以上に僕もびっくりだよ!
そういやあ、ポスターの男性はちょっと太った人だったっけ…。


マーゴとその旦那さんルーとの、いたって順調で
ほんわりとした幸せな家庭生活が描かれ
大きな不満はなさそう。

だけど、次第にダニエルに惹かれていくマーゴ。
次第に…っていうか最初からか…。

肌に触れることさえ拒絶するくらいなのに
精神的には夫以外の男を求めてる。
これって、テキトーに肉体関係をもつ浮気と違って
ホンキだよね〜。


現状をご破算にするには、あまりにも
なんとなく過ぎる「不満」。
与えられるものが、決して欲しているものではないという現実。

端から観てると、イライラしちゃうくらいだけど
「満たされない気分」って、案外そういうものなんだろうな。


象徴的に使われていた
ギラギラ光ってぐるぐる回るコースター。

きらびやかなライトと音の洪水の中、
楽しげだったり悲しげだったりといった
表情の変化がなんとも切なかった。


彼女自身が変わらない限り、きっと同じことの繰り返しだよ。
とも思ったけど、人間って少しずつ成長するもの。
同じ過ちを繰り返すまいと、きっとマーゴも頑張るはず。

ルーのためにも、そして自分自信のためにも
彼女には幸せであって欲しいなぁ。


カップルが別れる理由に、
「家族になってしまった」というのがあるけど
そういうことに悩んでる人たちに観てもらいたいな。

なにか解決するきっかけが見つかるかもしれないよ。